地学担当学芸員 中尾賢一(NAKAO Ken-ichi)のページ


開設:2007年7月13日(土),最終更新:2016年4月3日(日)

 

はじめに

 「学芸員っていつもは何してるんですか?」これ

は,よく聞かれる質問です,しかし,この問いにひ

と言でわかりやすく答えることは,あまり簡単では

ありません.

 徳島県立博物館は県立・政令指定都市設立の博物

館としては中規模で,現在12名の学芸員がいます.

一般に博物館には 1)資料収集・保存,2)調査・

研究,3)展示,4)普及教育の4つの仕事の領域

があるとされており, 徳島県立博物館ではこれらの

4つの領域をそれぞれの学芸員がひととおり行って

います. 具体的な仕事の中身やそれぞれの比率は,

分野により,人により,また一人の学芸員でも時

期や季節によりじつにさまざまです.

 これら4領域のうち,展示(常設展,企画展,移

動展など)と普及教育(講座,野外での観察会,室

内での実習など)は一般的な利用者にもわかりやす

いと思われますが,資料収集・ 保存や調査・研究などはあまり目にふれないため,イメージすることが難しいだろうと思います.しかしこれらは博物館の基礎体力を向上させ,展示や普及教育活動のベースとなる重要な仕事です.これらの活動の成果は,各種の論文や報告,収蔵資料目録などの形で公表されます.


担当分野

 地学(地質学と古生物学)

 天文・天体および気象は徳島県立博物館では扱っていません

 ※無脊椎動物分野の一部(貝,貝形虫)を分担することがあります


研究分野

・西日本における鮮新世〜現生貝類の古生態学的,古生物地理学的,分類学的研究

・徳島県内および周辺地域の地域地質に関する研究(多くは共同研究)




これまで手がけたおもな企画展・特別陳列 下写真は展示解説書

・鉱物の世界(1996年,販売分品切れ)

・貝化石が語る海の記憶(2002年, 販売分品切れ)

・石とくらし(全体のとりまとめと岩石関連)(2004年,友の会で販売中)

・ミネラルズ(2007年,販売分品切れ,pdfファイルをダウンロード可,ホームページで閲覧可)

・描かれた地震(2011年,友の会で販売中)

・シェルズ(2015年,特別陳列のため展示解説書はありません)




 

 

 




















おもな普及行事など

・新生代貝化石の標本づくり

・電子顕微鏡による微化石の観察

・スライドと化石標本を使った,一般的な地層と化石の解説

・岩石薄片標本の作製と観察

・ウミホタルの観察

・立体視の導入

・地層や化石,地形などの野外観察(徳島市中心部,阿南市羽ノ浦町,上勝町,海陽町宍喰,高知県室戸岬,高知県安田町唐浜,長崎県南島原市など)

・変成岩や鉱物の野外観察(徳島市眉山,愛媛県四国中央市)

・干潟や磯での生物観察(動物担当学芸員と共同)

出前授業〜小・中学校や高校からの依頼により実施.教室でスライド,標本を見せながら行う場合が多いが,条件が揃えば野外で地層や化石の解説をすることも可能.旅費(徳島県内)および謝金等不要.希望される方はお気軽にお問い合わせください.


論文・報告(★:査読つき学会誌)

・橋本寿夫・石田啓祐・寺戸恒夫・横山達也・中尾賢一・東明省三・森永宏・久米嘉明(地学団体研究会吉野川グループ).1991.松茂町の地形と地下地質,郷土研究発表会紀要, 37,1-21.

★中尾賢一.1993.宮崎平野の更新統・通山浜層の貝類群集の分布と変遷.第四紀研究,32(3),157-170.

・中尾賢一.1994.徳島県立博物館収蔵のナウマンゾウ臼歯化石.徳島県立博物館研究報告,(4),1-47.

・両角芳郎・亀井節夫・田代正之・菊池直樹・石田啓祐・東 洋一・橋本寿夫・中尾賢一. 1995.徳島県勝浦町の下部白亜系立川層から産出した恐竜類化石.徳島県立博物館研究報告,(5),1-9.

・中尾賢一 .1995.那賀川平野の沖積層産貝類化石−古環境と14C年代−.徳島県立博物館研究報告,(5),11-43.

・中尾賢一・橋本寿夫・石田啓祐・寺戸恒夫・森永 宏・森江孝志・福島浩三(地学団体研究会).1995,那賀川平野の沖積層,阿波学会紀要,41,1-19,

・中尾賢一・橋本寿夫・石田啓祐・寺戸恒夫・森永 宏・森江孝志・福島浩三.1996,吉野川平野の地下地質−北島町地域の沖積層−,阿波学会紀要,42,1-13,

・森永 宏・橋本寿夫・石田啓祐・中尾賢一・寺戸恒夫・森江孝志・福島浩三(地学団体研究会).1997,四国東部、日和佐地域の四万十帯北帯の白亜系と第四系,阿波学会紀要,43,1-19,

・中尾賢一.1997.徳島県立博物館収蔵の鳴門海峡海底産ナウマンゾウ切歯および骨化石.徳島県立博物館研究報告,(7),81-101.

・中尾賢一.2000.高知市一宮から産出した完新世貝化石群.徳島県立博物館研究報告,(10),49-60.

★中尾賢一.2000.瀬戸内海東部鳴門海峡海底産ナウマンゾウ臼歯化石の特徴.地球科学,54(4),232-256.

・石田啓祐・小澤大成・森永 宏・橋本寿夫・本山茂樹・森江孝志・中尾賢一・Francis HIRSCH・香西 武.2000,徳島県神山町地域の秩父北帯・御荷鉾帯,阿波学会紀要,46,1-12,

・中尾賢一.2001.徳島平野南部,西須賀町の海成沖積層から得られた貝化石群とその14C年代.徳島県立博物館研究報告,(11),105-121.

・ 中尾賢一・三本健二.2003.高知市布師田とはりまや町における完新世貝類相の変遷とAMS14C年代.徳島県立博物館研究報告,(13),29-40.

・橋本寿夫・中尾賢一.2003.四国東端の伊島から得られた白亜紀放散虫.徳島県立博物館研究報告,(13),65-75.

・石田啓祐・吉岡美穂・岡本治香・難波亜里子・中尾賢一・香西 武.2003.徳島県産国会議事堂大理石の研究−その1.産地と地質概要−. 徳島大学総合科学部紀要 自然科学研究,18,15-23.

・三本健二・ 中尾賢一.2004.高知県の鮮新統唐ノ浜層群の浮遊性貝類.徳島県立博物館研究報告,(14),15-25.

・地質班(地学団体研究会) 石田啓祐・元山茂樹・吉岡美穂・岡本治香・西山賢一・橋本寿夫・森江孝志・中尾賢一・小澤大成・香西 武・辻野泰之.2005,徳島県木沢村地域の秩父−黒瀬川帯海底火山噴出物の組成と随伴層の微化石年代,阿波学会紀要,51,9-16,

・地質班(地学団体研究会) 石田啓祐・岡本治香・吉岡美穂・辻野泰之・中尾賢一・香西 武.2005,南部黒瀬川帯の坂州不整合と上部三畳系寒谷層,阿波学会紀要,51,17-23.

・三本健二・ 中尾賢一.2005.高知県の鮮新統唐ノ浜層群穴内層から新たに確認された貝類化石(1).徳島県立博物館研究報告,(15),21-35.

・石田啓祐・岡本治香・辻野泰之・中尾賢一・香西 武・HIRSCH Francis.2005,四国東部の南部黒瀬川帯上部三畳系寒谷層と坂州不整合:層序,堆積相,フォーナ,徳島大学総合科学部 自然科学研究,19,19-29,

・中尾賢一.2005,庄遺跡徳島大学蔵本団地体育館地点から出土した貝類についてのコメント,庄(庄・蔵本)遺跡 −徳島大学蔵本団地体育館建設に伴う発掘調査報告書−,38-40,

・ 地質班(地学団体研究会) 西山賢一・中尾賢一・古田昇・橋本寿夫・石田啓祐.2006,藍住町地域の地下地質, 阿波学会紀要,52,1-12,

★中尾賢一 .2006.長崎県島原半島に分布する中尾賢一下部更新統加津佐層の貝化石相.第四紀研究,45(2),113-121.

・三本健二・ 中尾賢一.2006.高知県の鮮新統唐ノ浜層群穴内層から新たに確認された貝類化石(2).徳島県立博物館研究報告,(16),1-14.

★Kōji Yokogawa and Ken-ichi Nakao. 2007. Phylogeny of the Genus Volachlamys (Bivalvia: Pectinidae) from Japan. Venus, 65(4), 299-317.

★Kōji Yokogawa, Ken-ichi Nakao and Takashi Matsubara. 2007. Precedence of Pecten yagurai Yagura, 1922 (Bivalvia: Pectinidae) over Pecten yagurai Makiyama, 1923, with Lectotype Designation of Both Taxa. Venus, 65(4), 299-317.

★中尾賢一 .2007.長崎県島原半島に分布する更新統北有馬層の堆積相と貝化石相.第四紀研究,46(4), 341-354.

・中尾賢一.2007.徳島県立博物館における学校教育支援事業 −とくに地学分野の出前授業について−. 徳島県立博物館研究報告,(17),139-146.

・沖津 昇・中尾賢一・堀 秀道.2007.徳島県勝浦町辷谷のクロム鉱石採掘跡から発見された鉱物. 徳島県立博物館研究報告,(17),147-150.

・ 地質班(地学団体研究会) 石田啓祐 ・西山賢一・中尾賢一・元山茂樹・高谷精二・香西武・小澤大成.2007.徳島県祖谷川上流の御荷鉾帯の地質と地形,阿波学会紀要,53,1-12,

・石田啓祐・中尾賢一・東明省三.2007.徳島県産国会議事堂大理石の研究−その2.採掘関連聞き取り調査と検証−. 徳島大学総合科学部紀要 自然科学研究,21:33-46.

・石田啓祐・西山賢一・中尾賢一・元山茂樹・高谷精二・香西 武・小澤大成.2007.徳島県祖谷川上流域の御荷鉾帯と秩父帯. 徳島大学総合科学部紀要 自然科学研究,21,47-64.

・中尾賢一.2007.九州北西部の下部〜中部更新統口之津層群産貝化石群の古生物地理学的研究.兵庫教育大学連合大学院博士論文,ii+99p.

・三本健二・ 中尾賢一.2008.高知県の鮮新統唐ノ浜層群穴内層から新たに確認された貝類化石(3).徳島県立博物館研究報告,(18),21-33.

・ 地質班(地学団体研究会) 石田啓祐・西山賢一・北村真一・元山茂樹・辻野泰之・中尾賢一.2008.徳島県穴吹川上流域の地質と地形ー美馬市木屋平地域の御荷鉾帯と秩父北帯ー. 阿波学会紀要,54,1-12,

・石田啓祐・西山賢一・北村真一・元山茂樹・辻野泰之・中尾賢一・小澤大成.2008.徳島県穴吹川上流.木屋平の地質と地形. 徳島大学総合科学部紀要 自然科学研究,22,29-44.

・中尾賢一・辻野泰之.2009.徳島県立博物館で実施した「地質の日」関連事業.地質ニュース,(654),52-55.

・中尾賢一・石田啓祐・西山賢一・森江孝志.2009.吉野川谷,美馬町中上の土柱層から見出された高度変成岩礫.徳島大学総合科学部紀要 自然科学研究,23,7-11.

・ 地質班(地学団体研究会) 西山賢一・石田啓祐・中尾賢一・辻野泰之・森永宏・森江孝志・橋本寿夫・伊藤嘉将・山崎健太.2009.美馬市美馬町の地質と古生物ー和泉層群,鮮新〜更新統,ならびに地すべり地形ー. 阿波学会紀要,55,1-12.

・三本健二・ 中尾賢一.2009.高知県の鮮新統唐ノ浜層群穴内層から新たに確認された貝類化石(4).徳島県立博物館研究報告,(19),1-20.

・石田啓祐・中尾賢一・香西武.2009.徳島県産国会議事堂大理石の研究−その3.衆参両院における使用石材の比較−. 徳島大学総合科学部紀要 自然科学研究, 23(3),29-44.

・三本健二・ 中尾賢一.2010.高知県の唐ノ浜層群産浮遊性貝類の追加標本および既報告種の再検討.化石の友,(55),37-41.

・三本健二・ 中尾賢一.2010.高知県の鮮新統唐ノ浜層群穴内層から新たに確認された貝類化石(5).徳島県立博物館研究報告, (20),1-15.

・ 地質班(地学団体研究会) 石田啓祐・西山賢一・中尾賢一・辻野泰之・森江孝志・東明省三.2010.阿波市の地質と地形 —とくに「阿波の土柱」の成因と景観保全—.阿波学会紀要,(56),1-12.

・森江孝志・西山賢一・古澤明・石田啓祐・中尾賢一.2010.四国東部,吉野川谷に分布する土柱層から見出されたテフラ. 徳島大学総合科学部紀要 自然科学研究, 24,65-73.

・西山賢一・元山茂樹・石田啓祐・橋本寿夫・中尾賢一・阿部肇・辻野泰之・小澤大成.2011.つるぎ町一宇地域の地質・岩石・地すべり地形.阿波学会紀要,(57),1-9.

・石田啓祐・橋本寿夫・元山茂樹・中尾賢一・辻野泰之・西山賢一・小澤大成・阿部肇.2011.つるぎ町一宇中野の「ろう石」 −国会議事堂関連石材の調査報告−.阿波学会紀要,(57),197-202.

・ 植木武雪・中尾賢一・西山賢一・長谷川修一.2012.東四国の自然を楽しむガイドブック―地形・地質を中心として―.日本第四紀学会,38p.

・ 植木武雪・中尾賢一・西山賢一・森江孝志・竹村恵二・米延仁志・山田和芳・長谷川修一.2012.地学系専門学協会による一般市民を対象としたアウトリーチ巡検の実践報告.地学教育,65(2), 63-80.

・ 地質班(地学団体研究会徳島支部) 阿部肇・西山賢一・東明省三・石田啓祐・中尾賢一・辻野泰之・森江孝志・橋本寿夫・佐藤高則. 2012. 吉野川市山川町の地質 ー段丘堆積物と高越鉱山の現況. 阿波学会紀要,(58),1-12.

三本健二・中尾賢一.2013.高知県の鮮新-更新 統唐ノ浜層群穴内層から新たに確認された貝類(6).徳島県立博物館研究報告,(23),51-61.

三本健二・中尾賢一.2014.高知県の鮮新-更新 統唐ノ浜層群穴内層から新たに確認された貝類(7).徳島県立博物館研究報告,(24),1-9.

・石田啓祐早渕隆人中尾賢一東明省三.2015.口絵解説:徳島県阿南市産大理石の歴史的重要建造物における使用例.阿波学会紀要,(60),iv-vii, 195-198.

・石田啓祐・鈴木茂之・山下真司・辻野泰之・中尾賢一・西山賢一・橋本寿夫・森江孝志.2015.阿南市蕨石海岸のメランジュを構成する付加堆積物と海底地すべり堆積物.阿波学会紀要,(60),187-194.

・ 西山賢一・阿部 肇・辻野泰之・中尾賢一・石田啓祐・橋本寿夫・森江孝志.2015.阿南市の地質と地形--伊島・津乃峰の地質・地形と金属鉱山に関する調査--.阿波学会紀要,(60),1-13.

・中尾賢一.2016.鳴門海峡北西部の海底から得られた貝化石とそのAMS14C年代.徳島県立博物館研究報告,(26),9-15.