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文化の森の植物観察 目次

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アリが運ぶ種子
 春,なにやらたくさんのアリが集まっています.砂糖でも落ちているのかと思ってよく見てみると,地面にちらばった植物の種子に集まって,その種子を一生懸命小さな体で運んでいます.運んでいたのはシソ科のホトケノザという植物の種子で,先には透明なやわらかそうなものが付いています.これをアリが好み,巣まで運んでいるのです.そしてアリは種子の部分は食べないので,種子は捨てられ,ホトケノザはアリに種子を運んでもらっているのです.この植物は,閉鎖花といって花を開かせずに種子を作ることもでき,せっせと種子を作っています.
 ホトケノザは,もともとはアジア大陸原産の植物で,日本には古い時代にやってきたと言われています.ヨーロッパにも広がっています.ホトケノザが世界各地に広がる秘密は,アリが運ぶ種子にあるのかもしれません.
 ムラサキケマンやカタクリ,タケニグサ,スミレのなかまなど,いろいろな植物がアリに種子を運んでもらっています.種子を虫眼鏡で見て透明なやわらかいものが付いていたら,アリの通り道において様子を見てみましょう.どんなことがおきるでしょうか?